日本には明確にはありませんが、外国にはレパトリ減税というものが存在します。
それを今回ご紹介していきたいと思います。
レパトリ減税

レパトリ減税とは?
レパトリ減税は、決算に伴い企業が海外で上げた利益を翻刻に送金したり、海外に投資していた資金を本国に引き上げたりする時にかかる税金を軽減する措置のことを言います。
この減税制度の主な目的として、企業が海外に留保している資金を国内に戻すことにより、設備投資や雇用の拡大を促進することが目的です。
レパトリとは、「レパトリエーション(Repatriation)」の略であって、「本国への送還」と言います。
通常、通貨を他の通貨に変える際、通貨同士の価格差により、時期によっては不利な場合があります。その場合に、海外で稼いだお金が自国通貨に変えた時、もし自国通貨の方が通貨高状態であったら、お金の量が減ってしまいます。
それに加えてさらに、「海外子会社の利益を配当などの形で本国に還流させたときにかかる法人税」まで加わってしまったら、せっかく稼いだお金がもっと減ってしまうことになります。
海外で課税された後に、本国でも課税される二重課税をどうにかするためにも必要でした。
海外に外貨を持つ状態は、本国に戻さない以上、国内での設備投資や研究開発等の投資機会が失われる(機会損失)ことに繋がるため、将来的な税収面でも不利になってしまいます。
それを解消するために、レパトリ減税が導入されました。

ただでさえ為替の影響でお金が減るかもしれないのに、法人税を二重課税されたらたまったもんじゃないよね。
リパトリ減税を実施した国
レパトリ減税を導入した国はアメリカです。
アメリカがレパトリ減税を行った事例は、以下の通りです。
- 2005年 ブッシュ政権下で導入
- 2017年 トランプ政権下で導入
項目 | ブッシュ | トランプ |
年 | 2005年 | 2017年 |
適用税率 | 通常35%→5.25% | 現金・現金同等物→15.5% それ以外の資産→8% |
適用期間 | 1年限定 | 約3年間続いた |
ドル高圧力
アメリカが、本国に外貨を送る際に法人税がかかる。それを減税するのがレパトリ減税と説明しましたが、この本国にお金を送る時に、当然アメリカのドルに変える必要があります。
そうなれば、当然外貨売りのドル買い圧力によるドル円上昇、ユーロドル下落の要因になりますね。
2005年1月~12月 ↓

2017年1月~12月 ↓

他の要因も当然ありますが、2005年の上昇はかなり強いです。
2017年の場合は、トランプ政権というグローバルな経済状況と複雑に絡み合っていることや、レパトリ減税が1年限定というわけではなく、2005年と比較して長期だから、というのもあるのではないかなと思います。

日本にもレパトリ減税のような制度はないのか?
日本には、リパトリ減税はありませんが、そのかわりに外国子会社からの配当金を国内に戻す際の課税を軽減する制度があります。(外国子会社配当益金不算入制度)
益金不算入制度、外国税額控除を利用して、企業が海外で得た利益を国内に還流させやすくしています。
これはレパトリ減税と違い、企業に条件付きで常に適用可能状態であるため、FXをする場合、それほど気にする必要もないでしょう。

日本にもレパトリ減税を導入しよう!って議論があるけど、結局導入されていないんだ…。
まとめ
- レパトリ減税は、アメリカ発祥
- 過去2回行われた、その際2005年は特にドル高圧力(短期間限定の減税制度というのが大きかったか)
- 日本にも似たような制度はある。(外国子会社配当益金不算入制度)
- 外国子会社配当益金不算入制度は、常に適用状態であるから、FXをする時に気にする必要なし
FXのドル円トレードをする際は、アメリカでレパトリ減税が行われることになったら、機会を見計らってドル買いしてみるのも良いですね。
レパトリ減税を知るためにも、海外向けのニュースサイトをこまめに確認する必要があります。
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