
日本でもアメリカでも、一部の国を除いて、大抵は国債入札というものを行っています。
国債入札は為替市場に影響を与えることがありますので、ご紹介していきますね。
国債入札とは
国債入札とは、政府(日本では財務省が)発行する国債を、民間金融機関や投資家、また中央銀行等に対して売ることをいいます。
この入札を行うことによって、政府は必要資金を確保します。もし仮に、事後的に多くの税収が見込めた場合、国債発行量が減ることもあり得ます。
国債入札の目的
国債入札の目的には以下の3つがあります。
- 資金調達
- 市場の健全性の確保
- 金利の決定
①資金調達
政府は、国債を発行することで、公共事業、社会保障、インフラ整備、行政運営等に必要資金を確保しています。
②市場の健全性の確保
国債は、投資家から見ると、政府が発行する信用力の高い債券であり、低リスク資産とされています。つまり国債は金融市場の安定性に寄与しており、一定の流動性を提供することができます。
③金利の決定
国債の利回りは、金融市場の金利の指標となります。国債の利回りが上昇すると、市場全体の金利水準も上昇する傾向があります。
そのため、国債入札の結果は、金融政策や為替市場にも影響を与える重要な指標となります。
国債入札が多く発行した時と、それほど発行できなかった時の為替市場への影響度
国債入札の結果が良かった時(多く発行できた)、結論から申し上げますとその国の通貨高要因に繋がります。
入札によって、高い需要が集まるのは、投資家がその国の国債を買いたいという理由があるということです。そして、例えば日本国債入札の結果が良かった場合、日本円への信頼感や安心感が高まり、円買いに繋がります。
また、国債入札の結果が良い国は、その国が安定している証拠となります。リスクオンの環境下では、投資家は安定した国の資産を買いたがるため、その国の通貨が買われる傾向にあります。

じゃあ、リスクオフだと有事の円買い、スイス買いってやつかな?
そして金利差の縮小にも影響します。入札結果が良かったということは、金利が安定していることを示唆しているため、金利差が縮小する傾向があり、それが長期的に見てその国を買う材料となります。
2010年代のアメリカと日本は良い例ですね。一時期ブレもありましたが、1ドル=100円台あたりを推移していたため、多くのFXトレーダーはドル円をトレードしていますし、ユーロドルに続く2番目に取引が多い通貨ペアです。
国債入札の結果が悪かった場合は、大体良かった場合の逆になります。通貨安傾向になり、国債が買われないということは、国際価格も低くなり、金利も上昇するという結果に繋がります。つまり国債の信用度が低いということですね。
例えば、トルコリラは非常に高い金利水準を誇ります。2025年3月時点で金利は42.5%と、非常に高い金利を維持しています。しかし、この高金利に魅力を感じ、思考停止でトルコリラ円買いをしてしまうと、後で大きなリスクを抱える可能性があります。
トルコリラ円 週足チャート ↓

このように、ただただ金利が高いというだけで、国債及び通貨の信用度は低いため、トルコリラ買いの円売りなんてしたら、どこまでも損失が膨らむだけです。
戦略をもってトルコリラ円を買うのであればまだ大丈夫ですが、そこのところも考えながらトレードしましょうね!
まとめるとこのようになります。
国債入札 | 結果が良かった | 結果が悪かった |
通貨の価値 | 高くなる傾向 | 低くなる傾向 |
リスク度 | リスク低い資産 | リスク高い資産 |
金利差 | 縮小傾向 | 拡大傾向 |
まとめ
- 国債は政府(日本は財務省)が発行
- 国債入札の目的に資金調達、市場の健全性の確保、金利の決定の3つがあることから、金融市場に影響を与える
- 国債入札の結果が良かった時は通貨高要因、逆なら通貨安要因
ただし、国債入札の結果だけに囚われて他のファンダメンタルズ要因を疎かにしてしまったら、大局に逆張りしてしまうかもしれません。
他の経済指標をしっかり観察して総合的に判断していきましょう。
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