
無担保コールオーバーナイトレートとは、いわゆる政策金利のことで、この金利が変更されれば、金融市場だけでなく、実体経済にも影響がでることは、経済を少しでも学んだ方は分かるかと思います。
今回はこの無担保コールオーバーナイトレートについて、詳しく解説していきたいと思います。これを学べば、少しでもファンダメンタルズ分析の手助けになると思いますので、楽しく学んでいきましょう!
無担保コールオーバーナイトレート(無担保コール翌日物金利)
無担保コールオーバーナイトレートとは?
この無担保コールオーバーナイトレートは、コール市場で取引されるお金に対して付けられる金利です。
コール市場とは、金融機関同士の取引によって成り立つ市場であり、基本的に個人はその市場で取引することができません。
金融機関は、毎日多額資金が余剰になったり不足したりするため、一日一日の運用が極めて重要になっています。
そんな時、お金が必要(余ってしまった)になった時、すぐに対応してくれるのが、このコール市場なのです。(コール=『今日借りて翌日返す』市場)

民間金融機関には、日銀の当座預金口座に一定額の準備預金を積む義務(=法定準備預金制度)があり、その必要額に満たない状態になると、資金が不足していると判断されるんだよ。
金融市場や実体経済にどんな影響があるのか

中央銀行(日本銀行)が政策金利(無担保コール翌日物金利など)の誘導目標を変更すると、それに影響を受けて、市場で決定される3か月・6か月物の金利や、5年・10年物国債の利回りなども変化します。
こうした金利や利回りの変動は、為替市場にも波及します。
たとえば、
- 日本の金利が上がれば、円の資産に魅力が増し、円高になりやすい
- 日本の金利が下がれば、円の魅力が減って、円安につながりやすい
さらに、これらの市場金利の変動は、銀行の預金金利、住宅ローン金利、企業向け貸出金利などにも波及し、その結果として、
- 個人消費
- 住宅投資
- 企業の設備投資
といった実体経済にも影響が及ぶことになります。
特に10年物国債の利回りは、「長期金利の代表」として見られています。
これは、将来の景気・インフレ見通しや、中央銀行の政策スタンスがどうなるか?を市場が先取りして織り込むので、短期金利とは違った動きをすることもあります。
無担保コールオーバーナイトレートを日銀が誘導している理由

日本銀行は、政策金利として「無担保コールオーバーナイトレート」を誘導目標にしています。
これは、最も短期で流動性が高く、純粋な資金需給によって決まる金利であり、日銀が市場操作を通じてコントロールしやすいためです。
他にも、GCレポ金利やターム物金利などがありますが、GCレポは担保の需給によって金利が動くため、日銀にとって操作性がやや低く、
ターム物金利は流動性が乏しいため、誘導目標としては適していないわけですね。
ちなみに
- GCレポとは、国債等を担保にして、短期資金を貸し借りする取引
- ターム物とは、オーバーナイト(翌日物)と違い、数日~数か月の固定期間貸し借りするため、翌日物よりも長い期間の取引

なんだか、大学の講義みたいで内容が難しいけど、こういった背景を知っておくことは覚えたい分野の記憶の定着に繋がりやすいから大事だね。
補足として、アメリカでは『FF金利(フェデラル・ファンドレート)』を政策金利の誘導目標にしています。
まとめ
- 無担保コールオーバーナイトレートは、コール市場で取引されるお金に対して付けられる金利
- 誘導目標を変更すると、それに影響を受けて、市場で決定される3か月・6か月物の金利や、5年・10年物国債の利回りなども変化
- 変更することによって、実体経済にも影響が及ぶ
政策金利は、全ての金利の根幹を担っていて、これは市場参加者たちも注意深く見ていることから、この金利についてより深く理解しておくべきことですね。

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